生理痛や生理のトラブル
生理痛や生理のトラブルを抱えている女性は少なくありません。
妊娠・出産の回数が減ったことで、生涯で経験する生理の回数が増えた、また、ストレスや不規則な生活・食生活の変化などの生活環境の変化、慢性的な冷え性や排卵しにくい体質などの体質の変化が考えられます。
色々な要因で現代人は、ホルモン分泌が乱れ、生理トラブルを抱える方が増えています。
生理に関するお悩み
- 生理痛(月経困難症)
- 生理不順
- 生理の量が多い、少ない、あるいは生理の期間が長いなど
- 生理の時期以外の不正出血
- 生理の時期にまつわる不定愁訴、月経前緊張症候群(PMS)
対処法
まずは、大きな婦人科の病気が隠れていないかを確認する必要があります。
そのため、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気が隠れていないか、ホルモン環境が乱れていないかを調べます。
また必要に応じて、卵巣機能のチェックや下垂体のホルモン検査(排卵機能チェック)を行います。
そのうえで、痛み止めや低用量ピルを含めたホルモン剤、漢方薬などを用いて、症状軽減に努めます。
PMS(月経前症候群)とは
PMS(月経前症候群)とは、月経前3~10日間の黄体後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減弱あるいは消失するものとされます。
月経前に起こり、月経時に消えていく不快な症状がくり返し3ヶ月以上続き、しかも日常生活に差し支えるほど症状がひどい場合に、月経前症候群(PMS)と診断されます。
生理前にイライラ、気分の落ち込み、お腹の張り、食欲が止まらない、肌の調子も悪くなる、といった症状が出てきます。
PMS(月経前症候群)の原因
原因ははっきりと分かっていませんが、女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の変動が関わっていると考えられています。
1ヶ月の月経周期の間に女性ホルモンは劇的に変動し、この女性ホルモンの変動は心と体に影響します。
特に、月経前の黄体期にはエストロゲンとプロゲステロンの作用により、様々な精神的・身体的症状が現れます。
PMSの症状と診断基準
PMS症状 | 診断基準 |
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身体症状
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精神症状
|
PMSとPMDDの違いは?
PMDD(月経前不快気分障害)とは、PMSの中でも、特に心の不調が著しく、日常生活や社会生活に支障を来たしているような状態のことです。
PMDDでは生理1~2週間前から以下のような症状が見られます。
- 感情コントロールが困難
- 攻撃的・暴力的振る舞い
- 深い悲しみや絶望感による希死念慮
- 過度な緊張や不安感によるパニック発作
- 著しい疲労感
- 不眠や過眠などの睡眠障害
- 食欲増進
- 集中力の欠如
このように、心の不調が著しい場合はPMDDの可能性があります。
PMSの治療・対処法
薬を使わない治療
PMSの症状をやわらげるには、PMSについて正しく理解し、自分の症状を把握することが大切です。
いつ、どのような症状が、どの程度出るのかを記録しておきます。
そうすることで、様々なつらい症状が「PMSが原因」だと認識できます。それだけで症状が軽くなる場合もあります。
規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、カフェインの多いものやアルコール摂取を控える、禁煙、ストレス解消などの生活習慣の改善がPMS対策に役立つとされます。
薬物療法
PMS症状が重い場合は薬物療法を行うこともあります。
排卵が起こり女性ホルモンの大きな変動があることで症状が出現するため、排卵抑制薬を使用し女性ホルモンの変動を少なくする方法です。
低用量経口避妊薬(低用量ピル)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は副作用が少なく、服用している期間だけ排卵が止まるため、その後の妊娠に影響を与えません。
また、それぞれのPMS症状に対する治療薬を処方します。
例えば、痛みに対しては鎮痛剤、浮腫に対しては利尿剤、精神神経症状や自律神経症状に対しては精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法(SSRI)、漢方薬を使用し、患者様の悩んでいる症状に対して治療薬を選択します。
PMDD
(月経前不快気分障害)とは
PMSの諸症状のうち、「イライラ」や「気分の落ち込み」「不安」「怒りっぽくなる」などの精神面での不調が著しく、日常生活に支障をきたす症状を「月経前不快気分障害(PMDD)」と言います。
普段はうつ症状のない方が、月経開始数日前から抑うつ感や不安感などの精神症状が前面に出て、絶望感にとらわれたり、涙がとまらなくなったり、また反対にイライラしたり、怒りっぽくなったり、攻撃的になったりするなど感情のコントロールが難しくなります。
このような症状は、月経開始から数日後には消失し、普段の精神状態に戻る特徴があります。
日常生活を送ることが困難だと感じるほどのつらさが閉経までずっと続くことを考えると、我慢することは何も良いことがありません。気になる症状があれば、いつでもまつおかレディースクリニックにご相談ください。
診療を行い、それぞれの患者様に適した治療方法を提案させていただきます。
PMDDの原因
PMDDの原因は、はっきりとは解明されていません。
女性ホルモンのバランスが崩れることで起きるのではないかと言われています。
PMDDの症状
- 激しいうつ状態や自己否定感や絶望感がある
- すごくイライラする
- 激しい不安感がある
- 著しい緊張感がある
- 日常生活に支障を来すほど情緒不安定になる
- ひどく悲しくなり、泣くことが多くなる
- 怒りっぽくなる
- 攻撃的になる
- 物事に興味がない
- 引きこもりがちになる
- ひどく疲れやすくなる
- 常にだるい
- 判断力や集中力が低下する
- 過眠になる
- 不眠になる
- 性欲が抑制できない、もしくは性欲が減退する
- 食欲を抑えられない
- 下腹部が痛い、重い、はっている
- 乳房が張っている、痛い
- 頭が重い、痛い
- 手足がむくむ
- 便秘になる
- 何かに圧倒される感じがする
- ちょっとしたことで傷つきやすくなる
- 死にたいと思う気持ちになったり、自殺衝動に襲われたりする
PMDDになりやすい人は
どんなタイプ?
以下のような性格の方は、PMDDになりやすい傾向があります。
- 責任感が強い
- 自分に厳しい
- 几帳面
- 気配り上手
- 頼まれると断れない
- 誠実な性格
- 生理前に過食する
- ストレスが多い
- 喫煙習慣がある
PMDDとうつ病の違い
PMDDはうつ病とは異なります。
うつ病は、月経周期に関わらず、生理が終わっても気持ちの落ち込みが持続します。
一方で、PMDDは、排卵に伴うホルモンバランスの変化が原因のため、「生理開始の2週間前」から「生理開始後の数日以内」に症状が軽快し、生理終了後には改善することが多いです。
生理が終了して症状が改善する時は、うつ病よりもPMDDを疑います。
PMDDの治療・対処法
薬を使わない治療
PMDDの治療には、PMDDの病態や自分の症状を正しく理解することで、症状がやわらぐことがあります。
また、ストレスを感じている場合は、適度な運動やリラクゼーションが有効です。
薬物療法
PMDDでは、精神神経症状や自律神経症状に対しては、精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法(SSRI)、漢方薬を使用し、患者様の悩んでいる症状に合わせた処方を行ないます。
また女性ホルモンの変動を少なくするために、排卵抑制薬や低用量ピルが処方されることもあります。